僕が通うジムには高さ5M位のボルダー壁がある。
これまでは取り付きからSDスタートをして最上部の終了点でゴールという課題を作って登
って来た。
この方法も別に悪くない。
クライミング力の向上には当然なると思う。
ただ、ふと疑問に思った事があった。
自分が登れる課題のグレーディングは少しづつ上がっていっているのだけど、クライミング
力向上のトレーニングとしてはどこかまだ改良の余地を残しているのではないかと。
これまでの課題の設定方法でも、一つの課題としては完登に至るまで何度も登り込みは
必要としていた。
でも、それはあくまで終了点までの距離による消耗を要素として、その課題の完登を難
しくしていたものだった。
つまりそれは、言い換えると一つ一つのムーブ事態はさほど難しく無い課題だと言える。
なぜなら、一つ一つのムーブも難しければ、それは自分にはまだ無理な課題(グレードの
高い課題)と判断して登らなかったからだ。
ここに盲点があったと思う。
長めで総合的に完登が難しい課題ばかり作っていると、ワンムーブ自体は実はそれほど
難しくなく、起こすムーブの難度にはまだ余力を残している可能性があると思われるのだ。
前置きが長くなった。
では、どのような課題作りをしたら良いのか。
・まずは高さはないが手数の少ない難ムーブ課題を作る。
(現在持ちうる持久力を持ってしても、終了点に至るまでは激しく消耗するような激烈な
ムーブを要求されるような課題。)
・そういった課題をいくつか作り、それらが完登出来たら今度はその課題に最上部までの
ムーブも足し、長めの課題とする。
(下部はすでに出来ているので、途中から始めて最終的に下部と繋げて完登とすれば
良い。)
・このトレーニング方法の利点。
セクションをあえて二つに分ける事で、総合的に自分の限界値に対して難しい課題、相
対的に能力を高める課題を作れる。
つまり、下部で難易度の高いムーブをこなし、それが出来たら(精態形化されたら。)そ
こから持久力を用いてまた次のムーブ(さらに上までのセクション2)を起こすといった具
合。
この方法の最大の目的はムーブを起こす能力(ルートで言うところのいわゆるボルダー力
)の最大値の引き上げを図るというところだ。
手数さえ少なければ完登出来るのならば、あり得ないほどオーバーグレードなムーブでは
無いという事。
その後に手数を付け足し(セクション2)、それらを繋ぎ完登する事で結果として自己完登グ
レードを上げられる。
難ムーブの粗形態からの精態形化への移行、持久力の向上、クライミング力の底上げ、こ
れらを同時に図れるという事だ。
余談だけど、強い人と登ると自分も上手になるとよく聞く。
良いアドバイスをもらえるという事もあるだろうけど、加えて、そうする事で余力を残さない、
あるいは自分の限界以上の能力を要求されるといった事から、結果として、より効率的な
トレーニングとなるという事もあるのだろう。
追記:
方法論として逆もまた然り。
現時点で自分にとって、あきらかにオーバーグレードの課題を下部と上部で分割しても良い。
完登は無理でも自分より強い人が設定した難しいムーブを行なう事は充分に有意義だから。
*今日の肝
・「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
余力を残したままのクライミングを行なわない。
(特にジムでは。トレーニング的要素が強く、自分の都合に合わせて柔軟に
課題設定もしやすい。)
・難しいムーブ、高いグレードの課題もアプローチの方法を変える事で
効率の良いトレーニングとしよう。